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耳鳴りを漢方薬や東洋医学で治すには?

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2017年5月18日 02:48:06

耳鳴りを漢方薬や東洋医学で治すには?

耳鳴りを漢方薬や東洋医学で治すには?


「耳鳴りで抑肝散を出された。まったく症状が変わらなかったんだけど。。。」
という質問を頂いたので、シェアしたいと思います。



抑肝散

抑肝散
日本の精神科ではオーソドックスな薬です。
特に高齢者にも安心して使えるので、漢方薬をしらない先生でもドンドン処方するお薬です。
知識のない人でも処方することが多いですね。

小児科で出しているというのは聞いたことがないのですが、この抑肝散はもともとは小児科の先生が開発したお薬。

抑肝散がいつ誕生して、どういった処方なのかを考えたいと思います。
そしてなぜ、耳鳴りに聞かなかったのか?を明らかにしたいです。



抑肝散の誕生


抑肝散は明の時代、小児に服用させるために誕生しました。
小児科
薛鎧(セツガイ)という小児科専門の先生が書いた『保嬰撮要』という本に登場しました。
小児に使うための薬なので、当然身体への負担が抑えられた処方となっています。

処方構成は軟柴胡,甘草,川芎,当帰,白朮,茯苓,釣藤鈎
以上7剤が含まれています。

イライラや不安感を和らげる生薬よりも 血を補ったり、身体を温める、胃腸の負担を減らす生薬が多く含まれます。

漢方薬を使う際には、その薬剤の記された原文が非常に役に立ちます。



抑肝散の説明


病院で漢方薬を買うと説明が書いていますが、西洋医学の概念で書かれた漢方薬の説明書は意味不明です。
漢方薬を飲むときは原文を読めば本当の意味で効果が実感できます。
抑肝散 原文
『保嬰撮要』の抑肝散の項には“肝の経絡に虚熱が発生しひきつけや歯ぎしり、不安感。精神的なストレスからくる胃腸の不調、お腹のハリ感や不眠症状”に用いるとされています。

質問の方が耳鳴りでお困りだったために、抑肝散を飲んだのに効果がなかったと言っておられましたが・・・
「漢方薬は効果がないのかな?」というのは間違いで抑肝散が効く耳鳴りもあります。

それには抑肝散を使用する前提を理解する必要があります。

『肝の虚熱』が最も大切ですが、他に、便通が良いこと、冷たい飲み物を欲しがる、眼の白目が青く見える状態に抑肝散を用いるべき。
他の状態では地黄丸、四物湯、四君子湯などを適宜もちいるべき。
とも記載されています。

耳鳴りの症状に抑肝散を用いるのではなく、どのような状態か?を見極めたうえで耳鳴りが併発していれば効果があったはずです。



抑肝散を使用する前提条件

抑肝散の前提条件は『肝の虚熱』です。
肝
肝とは西洋医学の肝臓とは違い、 精神情動がのびやかで、消化吸収をスムーズにさせる、気や血が全身に行き渡るサポートする働きがあるとされています。
うつ病などにも関わりがあり、肝に関係する漢方薬は精神科でも良く処方されています。

『肝の虚熱』とは気や血が病気や疲労、無理なダイエットによって不足してしまったことによって、肝に熱を持った状態のことを言います。
車で言うと、エンジンを冷やす冷却水がなくなってエンジンがカンカンに熱くなった状態ですね。

『肝の虚熱』がない耳鳴りの人に抑肝散を処方しても症状は変化がない。
診たてが間違っていたということでしょうね。

漢方薬は長く飲んで効果を出すという考えがありますが、
漢方薬=長期間飲むのは間違いではと思っています。

診たてが間違っていれば、1ヶ月飲もうが、1年飲もうが変化はないどころか悪化する可能性があります。 症状や体質に漢方薬がしっかりと合っていれば、漢方薬の香りをかいだだけでも改善することもあります。



東洋医学の則って診察診断すべき

脈診
漢方薬は前提として、東洋医学的な見地にたって診察診断すべきで、耳鳴り=抑肝散というのは素人判断と同じです。
残念ながらほとんどの耳鳴りには抑肝散は効果がありません。

特に抑肝散はインターネットや通販でも『アロパノール』という商品名で売られており、薬にも毒にもならない副作用の出にくい漢方薬として販売されています。
本当に困っている方に薬にもならない漢方薬を無駄打ちする製薬会社は患者をバカにしているのではないでしょうか?



耳鳴りに効果のある漢方薬は病院では処方できない

耳鳴りに効く漢方薬はあります。
保険外
残念ながら、保険適応されていないという現実があります。

耳の疾患は従来の東洋医学はあまり得意ではありませんでしたが、
300年前の温病学と100年前の医学衷中参西録から、
東洋医学に新たな分野が創造されたことで今迄治せなかった症状も治すことが可能になりました。

日本漢方では300年前や100年前は歴史が新しすぎて、漢方薬として認められないようで、保険適応されないことになっています。
病院では保険適応されていない漢方薬は処方できない。
保険を扱っている病院ではそういった保険適応でない漢方は法律で処方できない縛りがあります。
保険と保険外を同時に扱えない混合診療が認められていない。



東洋医学に則った診察は見立てが命

抑肝散もですが、葛根湯、麻黄湯でさえも、診たてが間違っていると全く効果が出ません。
プラシーボ程度でしょうか?
プラシーボ効果
ですから、西洋薬よりも漢方薬で治したい。鍼灸治療で治したいと考えているのならば、
保険を使用していない病院や治療院で処方してもらう、治療してもらうべきです。

日本では東洋医学は公的機関の病院では限界があります。
耳鳴りに抑肝散を出している程度ではだめですね。



まとめ


  • 心療内科で抑肝散を出しやすいのは効かないが副作用がないからい
  • 保険と保険外の漢方薬があるが、保険外は通常の病院ではあつかえないために治療効果はいまいち
  • 東洋医学で治したいと考えているならば保険適応しない漢方薬局や鍼灸院を選択するべき


木もれび鍼灸院院長 木もれび鍼灸院院長弓削周平

長春中医薬大学 中医学士
長春中医薬大学 客員教授
吉林省公認 推拿師
北摂中医鍼灸研究会 代表


学生時代に父親がうつ病を発症。病院に行ったにも関わらず、完治することはなかった。この経験から精神疾患とそれに付随する不定愁訴(腰痛や不眠症、耳鳴りなど)で苦しんでおられる患者様と向き合おうと、伝統医学を極めるために中国の中医薬大学へ留学し、中医学と東洋医学(漢方・鍼灸)を体系的に学ぶ。日本に帰国後さらに日本伝統鍼灸を学び研鑽を積む。
この針治療が患者様からとても好評で多くのお喜びの声を頂いている。

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